MEISSA GREEN · コース管理 現場ノート
ゴルフ場の芝が黄色くなる原因は?グリーンの黄化を確かめる順番
グリーンの一部が前より黄色っぽく見えてきたら、色だけを見るより先に、どこから変わったのかを確かめてみてください。黄化が出ている範囲と、すぐ隣の元気な芝との違いを比べると、次に確かめるべき原因をずっと早く絞り込めます。
黄化は病名ではなく、芝が見せている反応です。病原菌だけでなく、日照不足、水分のかたより、養分の吸収の問題、根のまわりの傷みでも葉は黄色くなります。原因によって対応は違い、ときには正反対になることもあります。排水が悪くて過湿になっているのを日照不足と思い込んで散水を減らせば、かえって根を傷めることがありますし、窒素不足と思い込んで肥料を増やせば、病気にかかりやすいやわらかい葉ばかりを増やしてしまうこともあります。だからこそ、色を戻す対応より先に、原因を絞り込む順番が大切です。
グリーンが黄色くなったら、まず範囲を見る
グリーンの一部が前より黄色く見えたら、まずはどこからどこまで色が変わっているのかを見てみてください。グリーン全体が均一に薄くなっているのか、特定の場所だけに出ているのか、境目がはっきりしているのかによって、次に確かめることが変わります。
たとえば、木や建物の影と似た形で出ているなら日当たりを、低い場所や特定のスプリンクラーのまわりに集まっているなら水分の状態を、先に確かめることができます。作業した範囲と似た境目が見えるなら、最近の施肥や薬剤散布の記録もあわせて見ておきたいところです。
芝の病害診断の資料でも、全体の症状と出方、管理の条件やまわりの環境を見たうえで、葉や根の病害の手がかりを確かめる順番がすすめられています。色そのものより、黄化が出ている場所と形が、最初の手がかりになるということです。
すぐ隣の元気な芝と、何が違うかを比べる
黄化している場所だけをじっと見るより、すぐ隣で元気に育っている芝とあわせて見るほうが、違いがよく見えます。できれば同じグリーンの中で、管理の条件が似ている2か所を決めて比べてみてください。
こうして元気な場所との違いをひとつずつ比べていくと、ぼんやりしていた黄化の原因を、いくつかの候補に絞り込めます。
秋になったら、影のかかり方が変わった場所も確かめる
先ほど比べた項目のうち、秋にもう一度見ておきたいのが日当たりです。夏のあいだ問題がなかったグリーンでも、季節が変わると日が当たる時間が変わることがあります。太陽の位置が変わると、同じ木やクラブハウスでも、グリーンに落とす影の形が変わるからです。
クリーピングベントグラスは、日光が足りない状態が続くと、芝の密度や根の生育、ストレスを受けたあとの回復力が落ちることがあります。USGAも、日陰をクリーピングベントグラスのパッティンググリーンの生育に影響する大きな環境条件として扱っています。
黄化している場所と影が重なっているなら、晴れた日の朝・昼・午後に同じ場所をもう一度見てみてください。影がいつから入り、どのくらい長くとどまるかを見ると、夏とは変わった日当たりの条件を具体的に確かめられます。
日照不足が原因なら、何から調整する?
日照不足が疑われるからといって、すぐに窒素や鉄を足して色を濃くすることはしません。窒素が足りないと均一な黄化が出ることがありますが、ブラウンパッチやピシウム病は窒素が多すぎると被害が大きくなります。養分の問題は、あとで紹介する土壌・葉の分析で比べて確かめてから調整するほうが安全です。
まずは影の原因と、芝が受けているほかのストレスをあわせて減らしていきます。
- 樹木の剪定:下の枝を整理して、光と風の通りをよくできないかを検討します。
- 排水・散水の調整:日陰の土がいつまでも湿っているなら、散水量と排水の状態を分けて調整します。
- 刈高・刈り込み・踏圧の調整:運営に無理のない範囲で、刈高や刈り込みの回数、踏圧を調整し、回復する時間をつくります。
- 品種の検討:品種を変えるときは、その芝の種類や品種の耐陰性と、グリーンの品質やプレーへの影響をあわせて比べます。
すべてのグリーンに同じ対応をするのではなく、黄化している場所と隣の元気な場所に分けて、小さな変化から結果を確かめていきます。影を減らしたあとも病斑が広がったり、根腐れや菌糸といった手がかりが見えたりしたら、すぐに病害の診断に切り替えましょう。
葉と根で、病害の手がかりを確かめる
グリーン全体の出方とまわりの条件を確かめたら、次は芝を近くで見る番です。病害が疑われるときは、黄化している場所の真ん中よりも、元気な芝と症状が出ている芝の境目を中心に見てください。
- 葉:斑点や枯れ、水にぬれたような症状がないかを見ます。
- クラウンと根:色が変わったり、根が短くなったりしていないかを確かめます。
- 早朝:芝の表面に菌糸が見えないかを確かめます。
- 広がる早さ:何日も同じ場所にとどまっているのか、ひと晩で一気に広がったのかを比べます。
特に、短いあいだに範囲が広がるかどうかは大事な手がかりです。高温多湿の時期にひと晩で病斑が広がり、早朝に水にぬれたような葉や菌糸が見えるなら、ピシウム病の見分け方と朝の巡回チェックと比べてみてください。
反対に、根やクラウンの変色が一緒に出ていて、輪のような形の病斑がくり返し出るなら、サマーパッチなど根に出る病害の特徴もあわせて確かめておきたいところです。
この記事では、病害の処方までは扱いません。原因菌がはっきりしないうちに薬剤を変えて散布すると、かえって見立てを誤るおそれがあるからです。病害の手がかりがはっきりしているなら、病害ごとの確認の順番に進み、登録のある薬剤を基準に対応するほうが安全です。
最近の作業と、黄化が出た時期をつなげてみる
まわりの環境と芝の状態を確かめたら、黄化が出る前後にどんな作業があったかを見てみてください。散水量の変更、施肥、薬剤散布、刈高の調整、エアレーションなど、最近の管理の変化が手がかりになることがあります。
黄化している場所の形と作業の範囲もあわせて見てください。特定のスプリンクラーが届く範囲で違いが出ているなら散水の状態を、薬剤散布のあとに似た境目ができたなら、散布の範囲や重なりを確かめられます。
最近、散水の記録が大きく増えたり減ったりしているなら水分・根の問題を、施肥の時期や量を変えた記録があるなら養分の問題を、先に疑ってみることができます。2つを順番に見ていきましょう。
水分・根の問題なら、何から手を入れる?
過湿も乾燥も葉を黄色くしますが、対応は正反対なので、必ず見分けてから手を入れます。
- 低い場所や排水不良で過湿になっている場合:エアレーションと目土で、表面や根のまわりの水はけを補います。同じ場所が毎回ぬれているなら、排水管やサンドチャネルなど、つくりそのものの改善も検討します。
- 散水が届かない場所や、局所的に乾いている場合:まずスプリンクラーの散水の均一さを確かめ、必要なら手散水で補います。水が染み込まずにはじいてしまうドライスポットが疑われるなら、浸透剤(ウェッティング剤)の使用を検討します。
- 根が短く、色が濃い場合:根のまわりにすでにストレスがたまっている状態なので、刈高を少し上げたり、カートや人の通り道が集中する時間帯を調整したりして、回復する時間をつくります。
対応したあとも同じ場所が何度もぬれるなら、局所的な散水の問題ではなく、排水のつくりそのものの問題として絞り込み直す必要があります。
養分の問題なら、何から確かめる?
窒素不足は均一な黄化として、鉄欠乏は若い葉のまだらな黄化として出ることがあります。窒素不足は古い葉から比較的均一に色が薄くなり、生育のペースも落ちやすいのに対し、鉄欠乏は新しく出てくる若い葉から、葉脈のあいだがまだらに薄くなる傾向があります。
- まずは比べるところから:肥料を増やす前に、元気な場所と症状が出ている場所の土壌や葉を分析して比べ、本当に足りない成分と土壌のpHを確かめます。
- 窒素不足が確かめられた場合:推奨される施肥量の範囲で、緩効性肥料を中心に少しずつ補います。速効性の窒素を一度にたくさん与えると、やわらかい葉が増えて病気にかかりやすくなることがあります。
- 鉄欠乏が疑われる場合:葉面散布用の鉄剤(硫酸鉄やキレート鉄)を小さな試験区で先に試し、反応を見てから範囲を広げるほうが安全です。土壌のpHが高いと鉄の吸収そのものが落ちるため、鉄だけをくり返し与えるより、pHの調整が必要かどうかもあわせて見ます。
2つの欠乏が同時に起きていることもあるので、ひとつの成分だけをくり返し与えるのではなく、対応したあとにもう一度元気な場所と比べます。
一度の点検より、変化の流れを残しておく
黄化に気づいた日の写真だけを残すより、同じ場所が数日後にどう変わったかを続けて見るほうが、多くのことがわかります。日付ごとの写真やオルソ画像(コース全体を1枚にした航空写真)は、黄化がいつから出ているのか、同じ場所でくり返していないかを比べるのに役立ちます。
VARIやNDVI(植生指数)もあわせて見ると、芝の状態の違いが目立つ場所をすばやく見つけ、現場で点検する順番を決めやすくなります。そのうえで、その場所の葉や根、水分の状態と作業の記録をあわせて確かめれば、変化の前後のつながりも見えてきます。
メイサグリーンでは、地図の上で変化が目立つ場所を見つけてから、その場所の現場の状態や作業の記録をあわせて確かめられます。同じ場所の変化を日付ごとにためておけば、次に似たような黄化が出たとき、以前の状態とすぐに比べられます。
グリーンの黄化は「どこから変わった?」から始まる
グリーンが黄色くなったら、色そのものより黄化している場所と元気な場所のあいだで何が違うのかを探してみてください。まず出ている範囲を見て、日当たりと水分、葉と根、最近の作業を順番に比べていけば、現場で次に確かめることが自然と絞られていきます。
そして、その場所と変化を記録に残しておけば、次の点検では一から推測し直すことなく、前回の状態から続けて見ることができます。
貴コースの変化を、同じ場所で比べてみませんか
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