MEISSA GREEN · コース管理 現場ノート
ゴルフ場の落ち葉対策、どこから・どう片づけるのが効率的?
朝の巡回を始めると、まずグリーンの落ち葉が目に入ります。とはいえ、コース全体を一度にきれいにすることはできません。人手も機械も限られている日は、プレーにすぐ影響する場所、排水や安全に関わる場所、少し後回しにしてもいい外周を分けて考えることから始めましょう。
機械を選ぶのはその後で大丈夫です。静かなバッテリー式ブロワーが向いている場所もあれば、広い範囲の葉を一方向に寄せる大型ブロワーが必要な場所もあります。落ち葉が一か所に大量にたまっているなら、吸引式の回収機のほうが合うかもしれません。大切なのは最新の機械を入れることではなく、毎日くり返している移動や手間をどこで減らせるかを見つけることです。
ゴルフ場で落ち葉対策が大切な理由
ゴルフ場の落ち葉は、見た目の問題だけでは終わりません。グリーン・ティー・フェアウェイでは芝とプレーの質に影響し、排水口や主な通路では水の流れや通行の妨げになります。一度片づけた場所にもまたたまるため、ほかのコース管理作業に回したい人手や機械も取られ続けます。
USGA(全米ゴルフ協会)は、木の多いゴルフ場ほど落ち葉対策に多くの作業が必要で、秋には1日の作業のかなりの部分が落ち葉処理に使われることもあると説明しています。この数字を日本のゴルフ場の人員や費用にそのまま当てはめることはできませんが、くり返される落ち葉作業の負担が実際より小さく見積もられやすい、という点は参考になります。
だからといって、すべての区域を同じレベルで片づける必要はありません。1日の作業の目標は、コースから落ち葉をなくすことではなく、今日必ず片づける場所と、次の巡回に回してもいい場所を分けることに近いといえます。
落ち葉がいちばん多く見える場所より、プレーの質・排水・安全にすぐ影響する場所から先に片づけます。
まずはコースを3つの区域に分ける
落ち葉の多い場所から手をつけると、目立つ区域はすぐにきれいになります。でも、プレーや排水に直接関わる場所が後回しになってしまうことがあります。その日の作業は、次の3つの区域に分けて考えてみてください。
| 優先する区域 | 先に見る場所 | 基本の考え方 |
|---|---|---|
| 管理精度の高い芝・プレー区域 | グリーン、ティー、フェアウェイ、グリーン周り | 落ち葉を取り除き、芝とプレーへの影響を減らします。 |
| 排水・安全に関わる区域 | 排水口、低い場所、カート道、作業ルート | 詰まりや通行の危険がないかを確認し、必要なところから片づけます。 |
| ラフ・外周の区域 | プレーへの影響が小さく、落ち葉を集めておける場所 | 落ち葉の量と芝の状態、機械の条件を見て、粉砕・回収・堆肥化から選びます。 |
この分け方は、どのゴルフ場にも共通する固定のランクではありません。樹木の配置や芝の種類、傾斜や排水設備はもちろん、その日の予約やコンペの予定もゴルフ場ごとに違うからです。大切なのは、自分たちのコースの中でくり返し使える基準をつくることです。
たとえばグリーン周りの落ち葉が少なくても、パッティングやボール探しに影響しているなら先に片づけます。逆に外周のラフに落ち葉が多く見えても、芝が十分に見えていて排水や安全に問題がなければ、次の巡回に回してかまいません。
つまり、落ち葉が多く見える場所と、先に片づけるべき場所は、いつも同じとは限りません。
除去・粉砕・回収は、場所によって使い分ける
どこから見るかが決まったら、次はその落ち葉を本当に回収する必要があるかを考えます。グリーンやティーのようにプレーにすぐ影響する場所では取り除く必要がありますが、外周のラフまで同じやり方で片づける必要はありません。芝の状態、プレーへの影響、落ち葉を最終的にどこへ運ぶかをあわせて見ると、判断がぐっと楽になります。
管理精度の高い芝では、まず取り除く
USGAは、グリーン・ティー・フェアウェイのように管理精度の高い芝には、落ち葉も細かく砕いた落ち葉も残さないほうがよいとしています。落ち葉が厚く積もると芝を覆い、光が届きにくくなるおそれがあるためです。
こうした場所では、まず落ち葉を取り除いてラフや決めておいた集積場所へ移し、そのあとで処理方法を決める流れが安心です。作業の前に落ち葉をどこへ運ぶかを決めておかないと、何度も運び直すことになりがちです。
ラフでの粉砕は、落ち葉の量と芝の状態を見て決める
GCSAA(全米ゴルフコース管理者協会)は、落ち葉を細かく砕いて土に還す方法を紹介し、フェアウェイやラフのようにプレーへの影響を考慮できる区域に触れています。一方、USGAはフェアウェイを管理精度の高い芝として扱い、落ち葉を残さないほうがよいとしています。
2つの資料をあわせて見ると、フェアウェイでの粉砕を共通のルールとして当てはめるのは難しいといえます。プレーの質を厳しく管理するフェアウェイではまず取り除き、粉砕はラフや影響の小さい試験区域で、芝の見え方と落ち葉の量を確かめながら限定的に試すのが慎重なやり方です。
決まった厚さや回数より、次の点を確認してください。
- 作業のあとも芝が十分に見えているか
- 細かく砕いた落ち葉が一か所に固まっていないか
- 同じ場所に落ち葉がたまり続けていないか
- 機械の走行が、弱った芝にさらに負担をかけていないか
回収と堆肥化は、最終的な処理の条件まで考える
粉砕したりコース内に戻したりするのが難しい落ち葉は、回収するものとして分けておきます。条件が合えば、堆肥化を検討することもできます。GCSAAは、ゴルフ場で出る落ち葉や枝などの緑のごみを、場内で堆肥にする方法を紹介しています。
ただし、堆肥化には置き場所の確保や異物の混入、においへの配慮、病気の出た植物残さの扱いなどの課題があります。場外へ搬出する場合は、自治体のルールや廃棄物処理の決まりも確認が必要です。運営部門とコース管理チームで集積場所と管理の担当を先に決めてから、取り入れるかどうかを検討しましょう。
最近の落ち葉処理の機械は、作業の条件で選ぶ
最近の機械を見ても、「落ち葉を勝手に片づけてくれる機械」が突然登場したわけではありません。そのかわり、静かに吹き寄せる、広い範囲から集める、まとめて回収するといった作業が少しずつ楽になっています。機械の名前から選ぶより、自分たちのコースでいちばん多くくり返している作業を先に洗い出すほうがうまくいきます。
下の製品例は、メーカーが公開している公式の仕様をもとに整理したものです。第三者による性能比較や、実際のゴルフ場での生産性を検証した結果ではないため、導入前には自分たちのコースの条件で試してみることが必要です。日本国内での取り扱いの有無や仕様も、販売店にご確認ください。
| 作業の条件 | 検討する機械 | 期待できる役割 | 導入前に確認すること |
|---|---|---|---|
| グリーン周り、早朝、お客様に近い区域 | 業務用バッテリー式ブロワー | 落ち葉を芝の外や集積する方向へ移動 | 稼働時間、予備バッテリー、充電設備、本体の重さ |
| カート道や広く開けた区域 | リモコン操作の牽引式ブロワー | 運転席から風向きを調整しながら、広い範囲の落ち葉を移動 | お客様と作業者の安全、走行ルート、最終的な集積場所 |
| 落ち葉が集中するラフや外周 | 吸引式回収機・スイーパー | 掃き集めと回収を一度に行い、回収のための移動を減らす | トラクターと動力の条件、土の状態、旋回スペース、排出場所 |
| バッテリー機や作業機が何台もある場合 | 機械のつながる管理サービス | 使用履歴、バッテリーの状態、最後の位置、整備時期の確認 | 機械の対応可否、実際に記録できる項目、現場担当者の使い方 |
バッテリー式ブロワーは、音と充電計画をセットで考える
業務用のバッテリー式背負いブロワーは、音に気をつかう時間帯やお客様に近い区域で選択肢になります。ただし、1日の作業がバッテリー1回分で終わると考えず、稼働時間と予備バッテリー、充電の順番をあわせて確認しておく必要があります。
広い区域では、リモコン式ブロワーと一括回収機を使い分ける
牽引式の大型ブロワーは、カート道や広く開けた区域の落ち葉を一方向に寄せるのに使われます。風向きと最終的な集積場所を先に決めておけば、落ち葉を運び直す手間を減らせます。
集めた後の回収がいちばんのボトルネックになっているなら、吸引式の回収機やスイーパーが合うかもしれません。TRILO S4のような機械は、芝の上で掃き集めと回収を一度に行えるよう設計されています。ただし、機体が大きくトラクターの動力が必要なため、土の状態や旋回スペース、回収物を下ろす場所まであわせて確認しましょう。
機械は1台ではなく、作業の流れで組み合わせる
それぞれの機械の得意なところを実際の作業順に当てはめると、次のような流れがつくれます。
- スタート前に、管理精度の高い芝を先に片づける。 グリーン・ティー・フェアウェイと主な通路を確認し、必要な区域は手持ちやバッテリー式のブロワーで、落ち葉を外側の集積方向へ寄せます。
- 広い区域の落ち葉を、決めておいた場所に集める。 カート道や開けた区域では牽引式ブロワーを検討しつつ、落ち葉がまたプレー区域に散らないよう、風向きと最終的な集積場所を先に決めておきます。
- 落ち葉の多い場所はまとめて回収する。 吸引式回収機やスイーパーが使える場所では、掃き集めと回収を一度に済ませます。機械が入りにくい場所や芝が弱っている場所に、大型機を無理に入れることは避けます。
- ラフや外周は、粉砕するかどうかを別に判断する。 芝の見え方と落ち葉の固まり具合を確認し、条件の合う区域でだけ限定的に行います。
こうしておくと、「ブロワーを何台持っているか」ではなく、どの機械が、どの区間のくり返し作業を減らしたかで効果を評価できるようになります。
排水とお客様への案内も、同じ日に確認する
落ち葉を片づけて回るついでに、排水口もあわせて確認できます。USGAは、落ち葉や土砂などのごみが排水口をふさぐことがあるため、排水に問題が見られたら、まず排水口が露出していて水の流れを妨げるものがないかを確かめるよう勧めています。
排水口まわりの落ち葉を取り除いても、くり返す水たまりがすべて解消するわけではありません。同じ場所で問題が続くなら、雨の降り方、水が引いていく様子、作業を再開した時期まで記録し、継続的な観察や専門的な診断につなげましょう。
落ち葉をどこに集めるかも、運営部門と共有しておきましょう。集積場所が決まっていれば、コース管理チームと運営部門で案内が食い違うことを減らせます。
4つの記録が、次の作業を減らす
落ち葉作業の日誌を長く書く必要はありません。同じ場所を基準に、次の4つほどを残しておくだけで、くり返している作業や機械の効果を比べやすくなります。
- 発生した場所 ホールと区域、落ち葉が集中する目印になる地点を残します。
- 処理の方法 除去、ラフへ移動、限定的な粉砕、回収・堆肥化のうち、どの方法を使ったかを書きます。
- かけた時間と機械 何人でどれくらい作業し、どの機械を使ったかを残します。バッテリー機なら、交換や充電が必要になったタイミングもあわせて書いておけます。
- その後の状態 次の巡回でまたたまっていたか、芝の見え方や排水の状態はどうだったかを確認します。
こうして記録しておけば、「今年は落ち葉が多かった」という印象から一歩先に進めます。どの場所で作業がくり返され、どの機械を使ったときに移動や回収の手間が減ったのかを説明できるようになるからです。
強風や雨の予報が出ているときは、この記録を手がかりに、作業の順番や担当者を前もって調整することもできます。
メイサグリーン チームは、場所ごとの状態と作業記録をひとつの流れで振り返るやり方をおすすめしています。同じ場所でくり返された写真と対応をまとめて見ると、次の人員配置や機械の検討、長期的な樹木管理の話し合いに使う根拠も整理しやすくなります。
ゴルフ場の落ち葉対策の目標は、コース全体を一度にきれいにすることではありません。先に片づける区域を分け、除去・粉砕・回収のうち合った方法を選んだら、毎日同じ作業をくり返している場所をひとつ決めて記録を始めてみてください。機械の効果も、その場所で移動の回数や作業時間が実際に変わったかを比べることで判断できます。
くり返すコース作業を、場所と記録で整理してみませんか
メイサグリーンの担当者が実際の画面をお見せしながら、コースの状態と作業記録を運営の判断につなげる方法をご説明します。