
グリーンスピードや土壌成分のように、芝の管理にもすでに国際的な基準が整っているはず——そう考えたことはありませんか。コース品質の標準を調べていたメイサグリーンのチームも、思っていたより大きな空白をひとつ見つけました。
1. グリーンスピードや硬さのようなパフォーマンス指標と、土壌の化学的な指標は、すでに国際的な標準(USGA GS3、MLSN)として整理されています。
2. ところが、いまその芝がどれだけ健康かを客観的に測る指標は、まだありませんでした。
3. その空白のために、本社が複数のコースを公平に比較・評価しにくい理由をまとめました。
メイサグリーンのチームは、芝の管理に関する指標はすでに細かく整理されているだろうと予想していました。グリーンスピードや硬さ、なめらかさのようなパフォーマンス指標は、USGA GS3のような測定ツールで基準がしっかり定まっていましたし、土壌の化学的な状態については、2012年から使われているMLSNガイドラインが世界中で採用されていました。有機物含有量のような土壌の物理的な状態も、R&A・STRIの基準で範囲(0〜20mmの層で3〜6%)がすでに決められていました。
| 項目 | 標準の有無 | 根拠 |
|---|---|---|
| グリーンスピード・硬さ・なめらかさ | あり | USGA GS3 |
| 土壌の化学性(養分) | あり | MLSN(2012〜) |
| 土壌の物理性(有機物含有量) | あり | R&A・STRIの基準 |
| 芝の状態そのもの(活力・生育段階) | なし | コース管理チームの責任者の目と経験 |
肝心の「いまこの芝がどれだけ健康な状態か」を示す指標は、空白のままでした。NTEPのような定量的な指標はありますが、品種試験のために設計されたもので、毎日の現場で使うためにつくられたものではありません。結局いまは、コース管理チームの責任者(グリーンキーパー)の目と経験が、事実上の標準の役割を果たしていたのです。
複数のコースを運営するゴルフ場グループほど、この空白は大きく感じられます。USGA CCS(Course Consulting Service)のように、専門家が定期的に訪問して評価するしくみはすでにあります。ただ、こうした評価の多くは年1〜2回、専門家がひとり訪問したときにだけ残るスナップショットです。撮影のたびに、客観的に、コース全体で芝の状態そのものを測る層は、いまも空いたままです。
韓国で実際にお会いした運営担当者の方々も、この点にいちばんもどかしさを感じていました。コースごとに責任者も基準も違うため、本社の立場からは、どのコースがよく管理されているのかさえ、客観的な根拠で説明しにくいというのです。
これまでは、コース管理チームの責任者の目と経験が、事実上ただひとつの基準でした。いまは、活力・生育段階のように根拠のはっきりした指標から、撮影のたびにコース全体を記録する方法へと移りつつあります。

出典:Meissa Green マニュアル — 2.2.1 総合ダッシュボード
メイサグリーンのチームがつくるダッシュボードは、コース内のグリーンの状態を1ページにまとめて表示します。異常の兆しの発見から報告までをAIが支える流れも、結局はこうした状態の記録が積み重なってはじめて実現できるものです。

出典:Meissa Green マニュアル — 2.6.2 主要地点の詳細(時系列比較)
同じエリアを時点ごとに並べて比べる画面も、状態の記録をこつこつ積み重ねる中で生まれた機能です。積算温度(GDD)のようにすでに標準化された指標と同じく、状態の指標も、こまめに、継続して記録してこそ基準になります。
コース管理は費用の中心となる項目でありながら、どんな状態をどんな基準で管理し、どんな結果が出たのかを説明するのは、いまも難しいままです。私たちはこの空白を、状態の把握 → 対応 → 結果の記録が積み重なる運営データで埋めているところです。監視のためではなく、説明できる力を高める方向で取り組んでいます。
みなさんが通われているゴルフ場、あるいは管理されているコースでは、芝の状態をどんな基準で比べていますか。メイサグリーンのチームも、この空白をどう埋めていくか考え続けています。