エアレーションを秋だけにしたゴルフ場、フェアビュー・カントリークラブが日程を変えた理由

August 17, 2026

グリーンのエアレーション日程と回復期間のイメージ

MEISSA GREEN · 海外のコース運営事例

エアレーションを秋だけにしたゴルフ場、フェアビュー・カントリークラブが日程を変えた理由

気候の変化は、会員がコースを訪れる季節や時間帯を変えることがあります。以前は空いていた月が、これからもずっと閑散期のままとは限りません。アメリカのフェアビュー・カントリークラブは、実際の利用状況とグリーンの回復の記録をもとに春のエアレーションをやめ、1年分の作業を11月にまとめました。

気候が変わると、ゴルフ場の閑散期も変わる

気象庁の発表によると、2025年夏の日本の平均気温は平年より2.36℃高く、1898年の統計開始以降でもっとも高い夏になりました。猛暑日を記録したアメダス地点は延べ9,385地点と、比べられる2010年以降でもっとも多く、10月にかけても全国的に平年より気温が高い見込みとされていました。

猛暑が長引き、強い雨が増えると、夏の日中のラウンドは減り、早朝や夕方、春・秋へと利用が移ることがあります。地域やお客様の層によって状況は違うため、運営チームが見るべきなのは月ごとのラウンド数だけではありません。時間帯別の予約率、天候によるキャンセル率、コンペや競技会の日程、早春と晩秋の利用の変化もあわせて見る必要があります。

エアレーションも同じ目線で見直す必要があります。例年お客様が少なかったからという理由で日にちを固定するより、これから利用が増える時期と、芝が回復できる時期をあわせて探すことが大切です。フェアビューが変えたのも、まさにこの前提でした。

フェアビュー・カントリークラブが11月に行うエアレーション作業
フェアビュー・カントリークラブでは、グリーンに冬用のカバーをかける前の11月に、ドリル&フィルを2回、コアリングを2回行います。写真:Jim Pavonetti、USGA Green Section

フェアビューも「8月は空いている」という前提から始まった

USGAが2025年11月に紹介したフェアビュー・カントリークラブ(Fairview Country Club)は、アメリカ・コネチカット州グリニッジにある18ホールの会員制ゴルフ場です。ニューヨーク市から約20マイルの場所にあり、砂と土壌を改良したポアナ(スズメノカタビラ)のグリーンを管理しています。

このゴルフ場では長いあいだ、8月の第3週にグリーンのエアレーションを行っていました。8月の最後の2週間は休暇に出る会員が多くコースが空いていて、会員がレイバーデーの週末に戻ってくるころには、グリーンもほぼ回復していました。当時の利用状況には、よく合った日程だったのです。

ところが時間がたつにつれ、前提が変わってきました。空いていた8月下旬が大事な営業期間に変わり、クラブ選手権もこの時期に開かれるようになりました。晩夏から秋の月曜日には外部のイベントも増えました。長く守ってきた作業の日程が、会員や営業の日程とぶつかるようになったのです。

8月から11月・3月へ、そして再び11月へ

9月と10月は外部イベントが多く、エアレーションを入れられませんでした。フェアビューは日程を11月と3月に移し、このやり方は約10年間うまくいきました。春の回復に少し時間がかかっても、晩秋まで追加の作業がないことは、会員にとっても受け入れやすいものでした。

以前会員の利用が少ない8月第3週に作業
変更18月の利用が増え、11月と3月に分散
2022・2023年寒く乾いた春で、2年続けて回復が遅れる
現在春の作業をやめ、すべて11月に集中

そのあいだに、春のゴルフの重要性も高まりました。以前は母の日まで空いていた4月のラウンドが増え、冬明けすぐのコースの仕上がりへの期待も高くなりました。

問題は2022年と2023年に続けて起きました。どちらの年も春が寒くて乾燥し、3月にあけた穴はもちろん、前年11月の作業の跡もなかなかふさがりませんでした。肥料をまき、しっかりローリングしても、会員が期待するほど早くは良くならず、同じことが2年続いたことで不満も大きくなりました。

コース管理チームは、冬用カバーをかけた一部のグリーンで違う様子に気づきました。秋の作業の跡は見えず、春の作業であけた穴も、カバーをかけていないグリーンより早くふさがっていたのです。この観察が、春の作業をやめるという決断につながりました。

秋だけにしても、作業の量は減らしていない

フェアビューが変えたのは作業の量ではなく、時期でした。春と秋に分けていた作業を11月にまとめましたが、これまでの作業を減らしたり、なくしたりはしていません。

この事例のコアリングで使ったのは、直径0.5インチ(約12.7mm)のホロータインです。芝と土のコアを抜き取る中空のタインをホロータイン、中が詰まったタインをソリッドタインと呼びます。

11月の作業やり方管理のポイント
ドリル&フィル1回ずつ2度に分けていた作業を、続けて2回行う深く穴をあけて砂を詰める
コアリング0.5インチのホロータインを1.5インチ(約38.1mm)間隔で2回使う春・秋に1回ずつ行っていたものを、11月に2回まとめる
目土すべての穴を砂で埋め、表面にも薄く目土をする晩秋の芝をこれ以上傷めないよう、ドラッグマットではなくブロワーを使う
冬の準備土が凍る直前に通気性のあるカバーをかける翌春まで、カバーの下の生育や病害を確かめ続ける

作業をひとつの時期にまとめると、短い期間に必要な人手や機械、砂も集中します。フェアビューは秋の人手不足を補うため、外部の作業員を追加で雇っています。コースの利用への影響は減りましたが、作業の費用が自然に下がったわけではありません。

利用と回復の記録で時期を変え、有機物のデータで作業量を守った

フェアビューは、日程を決めるためのデータを2つに分けました。会員のラウンドやイベントの日程、2022・2023年の春の回復の結果は、作業の時期を変える根拠になりました。パッティング面の年間エアレーション目標と有機物の検査は、作業量を保つための基準でした。

変えたこと

作業の時期

3月と11月に分けていた作業を、11月にまとめました。

運営のやり方

外部の作業員を増やし、冬用カバーの管理までひとつの計画にまとめました。

変えなかったこと

年間の目標

パッティング面の20%をエアレーションするという目標は変えませんでした。

測定

5月と10月に、強熱減量法で有機物の量を調べています。

コース管理の責任者ジム・パボネッティ氏は、すべての作業を11月に移したあとも、有機物が減るペースは以前と変わらなかったと話しています。これは条件をそろえた比較実験の結果ではなく、ひとつのゴルフ場の検査と運営の記録にもとづく観察です。それでも、作業の時期を変えながら、芝の管理目標が守られているかを確かめていたことははっきりしています。

冬用カバーは、かけて終わりではなかった

11月にまとめて作業できたのは、冬用カバーによるところが大きいといえます。フェアビューは18のグリーンすべてと練習グリーン2面、ドライビングレンジのティーエリアまで、通気性のあるカバーで覆っています。風による乾燥の被害を減らし、大きな温度変化をやわらげることで、早春の生育を助けています。

フェアビュー・カントリークラブのグリーン全体を覆う通気性のある冬用カバー
フェアビューでは、秋のエアレーションのあと、すべてのグリーンに通気性のあるカバーをかけます。写真:Jim Pavonetti、USGA Green Section

カバーは、かける費用だけがかかるものではありません。購入と設置、冬のあいだの管理、春の撤去まで、予算と人手がずっと必要です。暖かい冬には、芝が伸びすぎたり病気が出たりしていないかも確かめなければなりません。

フェアビューではここ数年、冬のあいだに少なくとも1回はカバーを外して刈り込みや薬剤の作業をしており、2回外した年もありました。長期予報で夜の気温がずっとプラスのままになりそうなときにカバーを撤去しますが、また冷え込む場合に備えて、数週間はグリーンの奥にまとめて置いておきます。春の作業をなくした代わりに、冬の管理の仕事が増えたともいえます。

翌年の春、何が変わったのか

フェアビューは11月に4回のエアレーションを終え、12月の第1週ごろにグリーンにカバーをかけます。冬が明けたあとに見えた作業の跡は、ドリル&フィルで残った小さな白い点くらいで、ボールの転がりも良好だったとパボネッティ氏は話しています。

観察では、秋の作業の本格的な回復は2月末から3月初めに始まりました。カバーが地温を保ったことで穴がふさがり始める時期が早まり、4月の第2週か第3週には完全に回復しました。

11月のエアレーション後、翌年4月にほぼ回復したフェアビュー・カントリークラブのグリーン
11月にエアレーションを終えたグリーンは、翌年4月初めにはほぼ回復していました。写真:Jim Pavonetti、USGA Green Section

日本のゴルフ場は、どんな目安で日程を見直せるか

フェアビューから学べるのは、11月という日にちではなく、判断の順番です。まず会員の利用とグリーンの生育を確かめ、年間の管理目標を損なわないやり方を探し、実際の結果を見て次の日程を調整していく、という順番です。

  • 利用のパターン月別・時間帯別の予約率、天候によるキャンセル率、コンペや競技会の日程、春・秋のラウンドの変化を確かめます。
  • 芝が回復できる時期地温、刈りカスの量、根の状態、高温や病害のストレス、作業後の天気予報をあわせて見ます。
  • 年間の管理目標有機物の検査と、目標とする表面の処理率をもとに、タインの太さ、作業の回数、砂の量を決めます。
  • 本番の日程と予備日機械や人手、資材をどちらの日にも動かせるよう準備し、雨・高温・人手不足などで切り替える基準を前もって決めておきます。
  • 計画と実際の結果同じ場所の写真、地温と天気、表面の状態、ボールの転がり、通常営業に戻った日をひとつの記録に残します。

USGAの2026年の春のエアレーションのガイドも、コースの芝の状態とゴルフの日程に合わせて、作業の強さと時期を判断するよう説明しています。同じ年に発表されたタインの太さと作業回数を比べた研究では、回復の早さは天気に左右され、細いソリッドタインを何回か使った区画は、太いタイン1回と同じくらいの砂を入れながら、より早く回復する傾向が見られました。日にちと作業の強さを、ひとまとめで考えるべき理由です。

エアレーションの日にちは、慣習ではなくデータから決める運営の判断です。気候や会員の利用が変われば作業の時期も見直し、有機物のデータと実際の回復の記録で、変えた日程がうまくいっているかを確かめることが大切です。

よくある質問

秋だけエアレーションをするなら、年に1回だけということですか?

フェアビューの場合はそうではありません。11月にドリル&フィルを2回、ホロータインのコアリングを2回行っています。春の作業はなくしましたが、年間の作業量そのものは減らしていません。

なぜ春のエアレーションをやめたのですか?

春のラウンドが増えるなか、2022年と2023年の寒く乾いた天気で、2年続けて回復が遅れたためです。冬用カバーをかけたグリーンで秋の作業の跡が早く消えたという観察も、日程を変えるきっかけになりました。

日本のゴルフ場でも、11月にすべての作業をまとめていいですか?

フェアビューの日程をそのまま持ってくるのは難しいでしょう。芝の種類、地温、冬の営業、人手やカバーの使い方など、条件がそもそも違うからです。検討するときは、年間の有機物管理の目標と実際の回復の記録、追加の人手や冬の管理費もあわせて見る必要があります。

気候が変わったら、エアレーションの日程も毎年変えるべきですか?

カレンダーを毎年動かす必要はありません。ただ、月別・時間帯別の利用率、天候によるキャンセル、芝の生育と地温、作業後の回復期間は、毎年確かめ直したいところです。これまでの日程と実際の運営の条件がずれ始めたら、本番の日程と予備日、作業の強さをあわせて調整します。

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