MEISSA GREEN · コース管理 現場ノート
ゴルフ場の冬の樹木管理、秋から始める5つの越冬対策
冬が来てから木を囲うだけでは、ゴルフ場の樹木管理は終わりません。秋のうちに危険な場所と影響を受ける芝を分け、作業の順番と作業前後の記録の取り方を決めておくことが、越冬対策のスタートです。
秋から準備する5つのステップ
- 01安全危険木・傷んだ枝と通り道
- 02日当たり冬に日陰が長く残る場所
- 03芝木の周りの芝の弱り
- 04保護樹種・場所ごとの水分と凍害
- 05記録作業日程と前後の比較
冬の樹木管理は、冬になってから始めるものではありません
冬の作業を決めるには、その前に問題が大きくなりそうな区域から選んでおく必要があります。
冬は、排水・バンカー・散水設備の改善だけでなく、樹木管理や次のシーズンの作業計画もあわせて準備する時期です。秋の点検では、木1本の状態だけを見るのではなく、人が通るルート、芝が弱っている区域、木の周りで芝が育つスペース、冬の作業で使う進入路と作業時期もあわせて書き出してみてください。
こうして区域を分けておくと、すべての木を同じやり方で守る計画から抜け出せます。
01枯れ木・傷んだ枝と作業ルートを確認する
危険な枝や枯れ木が、コース利用者の通り道に近いところから先に分けておきます。
冬の樹木作業は剪定だけではありません。枯れ木や傷んだ木の除去、樹木の手入れ、根の周りの作業まで含まれることがあります。
- ティーイングエリア・カート道・歩道・建物の周りに枯れ枝はないか
- 最近の強風や大雨のあとに、新しく裂けた枝はないか
- 作業車両が近づくとき、スタッフやゴルファーの通り道を分けられるか
- 樹木作業中の落下物や、機械が旋回するスペースを確保できるか
写真を撮るときは木全体だけでなく、危険な枝、周りの通り道、作業車両を止める場所を1枚に収めます。除去するかどうかは写真だけで決めず、樹木の専門家の判断や現場の安全基準、必要な許可もあわせて確認しましょう。
02冬に日陰が長く残る場所を書き出す
日陰が見えるからといってすぐに木を切るのではなく、影響を受ける芝の区域を先に比べます。
冬は太陽の高さが低くなり、ふだんとは違う場所に日陰ができます。冬の日陰は芝を弱らせ、冬の傷みや春の仕上がりに影響することがあるため、樹木と日当たりをあわせて考える必要があります。
- 午前・正午・午後に日陰がかかる場所
- 日陰が長く残る場所の芝の密度と回復の様子
- 同じ芝で、日が当たっている比較用の区域
- 枝の剪定・移植・除去のうち、検討できる作業の範囲
できれば同じ場所を同じような時間帯に撮影してください。冬にもう一度撮ったとき、「日陰ができた」という印象だけでなく、どの区域がどれくらい長く影響を受けているかを比べられます。
03木の周りで芝が弱っている場所を比べる
木と芝が近い場所では、原因を日陰だけと決めつけず、比較用の区域もあわせて見ます。
木に近い区域と少し離れた区域を比べながら、根の周りの水分の状態や、機械の走行で土が固くなっていないかを見てみましょう。
- 芝の密度や葉の色に違いはあるか
- 雨がやんだあとの乾き方に違いはあるか
- 根が地表に出ていたり、土が固くなっていたりしないか
- 同じ散水区域なのに、生育の反応が違わないか
根を切ったり土を大きく動かしたりする作業は、樹木と芝の生育時期、安全性、作業の強さをあわせて検討してから決めましょう。
04水分・凍害のリスクは、樹種と場所ごとに分けて考える
すべての木に同じ散水量や防寒材を使わないようにします。
冬の樹木の保護は、土の水分、根の周りの保護、樹種や地域の条件によって変わります。日本でも北海道や東北と、関東以西の太平洋側では冬の条件が大きく異なります。秋の散水やマルチングも、木の根が広がる範囲と土の状態を見ながら判断しましょう。
- 樹種と樹齢、移植・植栽の時期
- 風が強い場所や、水がたまりやすい場所か
- 土の乾き方と根の周りの状態
- 冬に機械が近づく可能性と、保護が必要な設備
こうした情報をそろえてはじめて、防寒材、マルチング、追加の散水、立入制限のうち、どの対策が必要かを判断できます。樹種や地域を確認しないまま「何度になったら何をする」という共通ルールをつくるのは避けましょう。
05作業日程と作業前後の記録を先に決める
秋のうちに点検表をつくり、作業の前後で比べる項目を決めておきます。
冬の準備は、気温が大きく下がってからではなく、日が短くなり気温が変わりはじめる秋から始めるのがおすすめです。
| 記録する項目 | 作業前に確認すること | 作業後に比べること |
|---|---|---|
| 安全 | 危険な枝・枯れ木が通り道と重なっていないか | 危険が取り除かれたか、立入制限ができているか |
| 日当たり | 冬に日陰になりそうな区域はどこか | 作業後に芝の日当たりが変わったか |
| 芝 | 木に近い区域が比較用の区域より弱っていないか | 密度・色・回復の差が小さくなったか |
| 水分 | 水がたまる、または乾きすぎる場所はないか | 保護や散水を調整したあと、状態がどう変わったか |
| 運営 | 機械とゴルファーの通り道を分けられるか | 作業中の立入制限が実際に守られたか |
写真を撮る位置と向きを固定し、作業日と作業者も一緒に残しておきましょう。次のシーズンにも同じ場所を比べられます。メイサグリーンでは、場所ごとの写真と作業記録を同じ基準で残し、作業前後の状態を振り返る流れに活用できます。ただし、樹木の危険度や凍害を自動で判定するという意味ではありません。
秋の作業の優先順位の決め方は、ゴルフ場の落ち葉対策、どこから・どう片づけるのが効率的?でも紹介しています。
一律の剪定や防寒の前に確認したいこと
剪定、枯れ木・傷んだ木の除去、マルチング、樹木の防寒は、それぞれ目的の違う作業です。危険木への安全対策、冬の日陰の改善、芝の保護、水分管理は、同じ対処を必要とするわけではありません。
- 安全上の危険が大きいとき:通り道の立入制限と専門家の点検を先に決めます。
- 冬の日陰が問題のとき:日当たりの記録と芝の比較区域を確認してから、作業の範囲を検討します。
- 木の周りの芝が弱っているとき:芝・土・樹木の状態をあわせて見て、強い作業を急がないようにします。
- 水分・凍害のリスクが違うとき:樹種と場所ごとに保護の方法を分けて決めます。
秋から同じ場所を記録しておけば、冬の作業が終わったあとも、何が効果的だったかを確かめられます。越冬対策の目標は、木を一律に囲うことではなく、春にまた問題が出る区域を減らすことです。
自分たちのコースの、冬に注意したい区域から確かめてみませんか
メイサグリーンの担当者が実際の画面をお見せしながら、場所ごとのコースの状態と作業記録を次の点検につなげる方法をご説明します。