
2026年10月 · 読むのに7分
打設が終わった後は、施工した杭が設計した位置にあるか、どの程度入ったかを確認する必要があります。杭ごとに番号を探して図面と日誌、測定した値を突き合わせる作業が続きます。このとき杭打ち管理とドローンデータをつなげると、設計位置と施工後の位置をプラットフォーム上で自動的に比較し、施工記録をもとに貫入深さを計算して簡単に検討できるようになります。
ご担当者は同じ杭の記録と写真を一緒に見ながら、追加で確認する対象を絞り込んでいくことができます。杭打ち日誌を集めた後には、どのような検討が続くでしょうか。杭番号を図面で探し、施工した位置と深さを確認し、想定と異なる結果の原因を確かめる必要があります。この記事では、その検討の順序に沿って、ドローンデータの活用範囲と人が判断すべき部分を見ていきます。
この記事で確認する内容
従来の杭打ち管理では、杭ごとに施工内容を記録し、施工後の位置を設計と比較して結果を整理します。日誌が集まると、その中の記録と設計資料、現場で確認した値を同じ杭番号で突き合わせる作業が続きます。
施工前から後まで必要な資料を順番に見ると、次のとおりです。
杭1本を確認するのに必要な資料
資料は施工前・中・後に分かれ、検討はこの3つを同じ杭番号で突き合わせることから始まります。
01
施工前 — 設計位置
図面で杭番号と座標を探し、現場に施工する位置をマーキングします。
02
施工中 — 杭ごとの記録
施工日と杭の長さ、打撃・貫入の状況を残します。工法によっては削孔深さや注入量も管理します。
03
施工後 — 設計・実際の比較
測量した杭の中心の座標を設計座標と突き合わせ、差を杭ごとに整理します。
3つの資料が同じ杭番号でつながってこそ、位置の差と深さを確認できます。
既製杭標準示方書(KCS 11 50 15)でも、杭ごとの施工記録とともに、設計位置と実際の施工位置の誤差を記した施工位置図を扱っています。機器や自動化システムで施工記録を残す方法も含まれています。
それぞれの資料で確認できる内容は少しずつ異なります。日誌はいつ、どの杭を施工したかを教えてくれ、位置の資料は設計した位置からどれだけ離れているかを示します。深さを見るには、杭の長さと基準高さも一緒に確認する必要があります。
資料ごとに杭番号を探して値を書き写し、計算する作業は杭の本数だけ繰り返されます。ドローンプラットフォームを活用すると、このうち杭の中心を探し、設計位置と比較し、深さを計算する作業を自動で処理できます。
設計ファイルと杭打ち日誌をアップロードし、施工後の撮影データをご用意いただければ、計算を実行できます。その後はプラットフォームが写真から杭の中心を自動で探して位置を補正し、杭芯誤差と貫入深さを計算します。杭ごとに繰り返していた突き合わせと計算をシステムに任せられるわけです。
杭の中心を意味する「杭芯」は、設計した位置と実際に施工した位置を比較する際の基準になります。プラットフォームはドローン写真から見つけた中心と設計座標を比較し、X・Y方向にどれだけ差があるかを計算します。
結果の値とその杭の写真も一緒にご覧いただけます。値が想定より大きく出た場合は、写真から検出した中心が正しいかどうかからご確認ください。設計位置と実際の位置がどの方向に離れているかも目で確かめられます。数値と実際の様子を一緒にご覧になると、どのような差なのかを理解しやすくなります。
貫入深さを計算するには、杭の全長と上部の高さ、基準となる高さが必要です。プラットフォームは杭打ち日誌と撮影データの値を合わせて使い、計画高基準と敷地レベル基準の深さを計算します。
日誌から長さを探し、高さの資料を取り込んで杭ごとに計算していた作業を一度に処理できます。結果を受け取られた後は、2つの基準の深さをご確認いただき、入力した長さや計算結果が想定と異なる杭を改めてご確認ください。
ダッシュボードでは、位置(棟)ごとに打設の進捗と計算の進捗を分けて表示します。施工した杭の本数と計算を終えた本数を一緒に見られるため、打設が終わった棟でも計算や確認が残っていないかを把握しやすくなります。
計算の過程で深さの値が異常であったり、写真と杭を正しく結び付けられなかった対象は「計算保留」として選別されます。保留の理由と写真をご確認いただき、必要な場合は写真から見つけた杭の中心の位置を補正してください。繰り返しの計算にかけていた手間を減らし、結果を見直すことに時間を使えます。
ドローンプラットフォームは、撮影した写真を分析して位置と高さを持つ現場データにし、設計・施工資料と一緒に使えるようにするWebツールです。写真がどの座標に当たるのか、表面の高さがどれくらいかが分かるため、設計位置を比較したり長さを計算したりできます。
ドローンは同じ区域を複数の写真に重ねて収めます。写真に共通して写っている地点を利用して立体的な形状を計算すると、現場の表面を3次元データにすることができます。このように重ねて撮った写真から3次元の点データを得る原理は、米国地質調査所(USGS)の写真測量の解説でも紹介されています。
現場を上から見下ろした地図のように広げた写真を「オルソ画像」といいます。プラットフォームはこの画像から杭の中心を探し、設計ファイルにある座標と比較します。写真と設計が同じ座標基準で揃っていなければならない理由も、ここにあります。
撮影データから杭の上部と周辺の地面の高さが分かれば、地上に残った長さを求められます。ここに日誌に記録した杭の全長があれば、地中に入った長さを計算できます。
貫入深さ = 杭の全長 − 基準高さより上に残った長さ
基準高さが異なれば、同じ杭でも深さの値は変わります
周辺の敷地レベルが計画高より高い場合を描いた図解です。
杭の最上端
周辺の敷地レベル
計画高
杭の先端
全長から各基準高さより上に残った長さを引いて貫入深さを計算します。基準高さが異なれば、同じ杭でも深さの値は変わります。
写真は杭の上部と地表面の高さを、日誌は杭の全長を提供します。地中の杭の先端を撮影する方式ではなく、この2つの資料を合わせて使って深さを求める方式です。
基準高さをどこに置くかによって、結果は2つに分かれます。
| 貫入深さの基準 | どのような深さか |
|---|---|
| 計画高の貫入深さ | 設計で定めた高さを基準に計算した深さ |
| 敷地レベルの貫入深さ | 杭の周辺の地面の高さを基準に計算した深さ |
例えば周辺の地面が計画高より高ければ、同じ杭でも敷地レベルを基準に計算した深さのほうが大きく出ます。基準高さが異なることで生じる差です。他の資料と値を比較される際は、どの高さを基準に計算したのかからご確認ください。
この計算は施工後の状態を確認するために活用します。打設中の施工判断や最終的な施工の適合性、支持力の確認は、現場の基準と必要な測量・試験に従って進めます。
自動計算を始めるには、設計ファイルと杭打ち日誌、条件に合う撮影データを準備する必要があります。さらに計算を実行して結果を確認するご担当者まで決めておけば、資料の準備から検討までスムーズに進められます。
以下のファイル形式と撮影条件は、この記事で見てきたドローンプラットフォームの杭管理機能を利用する際の基準です。
設計杭芯の座標が入ったcsv・xlsx・xlsファイル、最大10MBをご用意ください。同じ番号の杭が複数の棟にある場合があるため、位置(棟)とPile No.を一緒にご確認ください。日誌にもこの2項目を設計ファイルと同じ値でご記入いただいてこそ、設計と施工記録が正しくつながります。
設計座標と撮影データの座標基準もご確認ください。この基準を合わせるうえで現場の基準点がどのような役割を果たすのかは、ドローン測量でGCPと座標誤差を扱った記事で詳しくご覧いただけます。計画高基準の深さをご覧になるには、その位置の計画高データも準備する必要があります。
すでにお使いのExcel資料があれば、プラットフォームの最新アップロード様式とまず比較してみてください。座標だけの資料であれば、深さの計算に使う全長を追加で準備する必要があります。計算に使う長さは実際の施工記録と一致していなければなりません。
施工日も重要です。プラットフォームは各杭を施工日以降に初めて撮影されたオルソ画像と結び付けます。日誌に記された日付が、どの撮影データで計算するかを決める基準になるわけです。
杭の計算用の撮影高度は100m以下です。高さの計算に必要な杭周辺の3次元データを確保するための撮影条件です。現場全体をモニタリングしていた撮影経路がある場合は、この条件に合うかご確認ください。モニタリング目的の経路と計算用の経路を分ける必要があるかもしれません。
施工が終わった杭が撮影データに収められている必要があるため、打設の日程と撮影の日程も合わせて決めておかれるとよいでしょう。すでにドローンをお使いであれば、新しい機体をご検討になる前に、現在の撮影経路とデータが杭の計算に合うかをまずご確認ください。
オルソ画像の分析が終わりましたら、杭打ち日誌をアップロードし、計算対象を確認したうえで実行してください。撮影データの分析完了と杭の計算は別であるため、計算を実行するご担当者を決めておく必要があります。
計算後は、完了した結果とともに計算保留・エラーとして残った対象もご確認ください。計算保留として残った杭は写真と理由をご確認いただき、必要な場合は位置を補正してください。エラーと表示された場合は、計画高の範囲内にあるか、周辺の3次元データは十分かなど、計算条件を改めてご確認ください。
アップロード前に、この2つもご確認ください
今お使いの設計ファイルと杭打ち日誌からご確認ください。杭番号・施工日・全長が揃っているか、撮影経路が計算条件に合うかをご確認いただければと思います。必要な資料と撮影条件を揃えていただければ、杭ごとの位置の差と深さの計算をプラットフォームに任せられます。ご担当者は写真と結果を見ながら、再確認する対象を簡単に確認できます。
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